情報家電製品を他社より早く安く開発するための必勝法

これは実は簡単なことなのですが多くの方が誤解されているとおもいましたので今回ちょっとかいてみます。正解はソフトウェアを早く(そして必然的に)安く開発すれば良いだけです。ちょっとコペルニクス的転回とかんじられるかもしれませんがデジタルな世界では家電製品の開発とはとはソフトウェア開発であると考えて多くの場合で的をはずしません。

降ってきた放送はソフトウェアで絵と音とその他データに分解され、音と絵はさらにデコードされて同期をとって出力されます。高速化および省電力化のために専用チップを使うことが一般的ですが、そのチップの中でソフトウェアがうごいているのはもちろんとしてそのチップを製品として制御しているのはデバイスドライバミドルウェアといったソフトウェアです。電話のベースバンドや呼制御こちらもソフトウェアですね。

上で「多くの場合」と言いましたが、開発を見積もる場合もこれにふくまれます。
まず、家電製品の開発コスト(製造コストではないです)、現代の情報家電ではテレビでも携帯電話でも最終製品の開発費の9割前後はソフトウェア開発がしめることが経験的に知られています。凝った機能を目指す高級機ほどその比率はさらに高くなり、廉価機だと低くなりますが、だいたい9割前後に分布するようです。つまり、情報家電製品の開発費見積りは、ソフトウェア開発費で見積もっておけば良い近似になります。
系として、開発費の9割以上が人件費なので、必開発人員の頭数見積りもソフトウェア開発用員数を見積もっておけば良い近似になります。

さらに開発期間も、ソフトウェア開発が全体線票のドライバーになるのはもはや説明も不要と思います。ソフトウェアのせいで出荷がよくおくれることは存知でしょう。

家電メーカーが競争に勝ち残って行く為に、安い製品を早く市場に投入して行くために最も重要な技術は何だとおもわれますか?ディスプレイデバイスや通信の技術がよくニュースを賑わせますが、そういったハードウェアデバイスの技術でしょうか?私は、製品開発の9割をしめるソフトウェアを早く、安く作る技術、つまりソフトウェア工学こそが今、もっとも重要な技術であると信じています。

ハードウェア家さんおこられるかもしれませんが、ガリレオ的にいうならば「それでも、情報家電の最終製品開発の主役はソフトウェア開発だ」といった所でしょうか。

では、どうやったらソフトウェアは安く早く作れるのか、そのための基本原理を次回にお話いたします。また、そのすばらしい成功例である Android の成功理由もご説明します。
さらに、多くの方が「ソフトウェア工学なんて役に立たない、これまでも何度も投資してきたが無駄だった」という苦い経験をされていると思います。なぜそれらが役に立たなかったのか、何が悪かったのか、こちらもご説明させていただきます。

今日からしばらくは与太話しばっかりになりますので、仕様の参照はありません :-)